離婚後に知った“年金分割”と“苗字”のこと

東京都在住 女性のお金の専門家 谷古宇寛奈(やこうかんな)です。
私の離婚は、突然の出来事でした。
当時の私は、午前中だけのパート勤務。社会保険や年金の制度については、正直あまり理解していなかったと思います。
そんな中で年金事務所に足を運んだのですが、実は「なぜ行ったのか」明確な理由はよく覚えていません。
突然の離婚で、心身ともに疲弊していた私は、
「これからの生活をどうにかしなきゃ」と思って動いていた記憶だけがあります。
そして「年金分割」という制度の存在を知りました。
今回は、離婚後に私が知った“年金分割”のこと、“苗字”について私がどのように考え行動したのか、その体験をお伝えします。
年金分割って何?年金事務所で知った制度
離婚後に年金事務所を訪ねて、私は「年金分割制度」の存在をはじめて知りました。
※以下は日本年金機構による制度説明の一部です
合意分割制度とは?
婚姻期間中の厚生年金のうち、配偶者と分け合うことができる制度です。
離婚後に「請求すれば分けてもらえる」わけではなく、相手の同意が必要なケースもあります。
- 分割には【合意または裁判】が必要
- 請求は離婚から2年以内
3号分割制度とは?
第3号被保険者(配偶者の扶養に入っていた人)が利用できる制度で、
婚姻中に配偶者が厚生年金に加入していた場合、自動的に2分の1ずつ年金を分けることができます。
- 請求期限は離婚後2年以内
- 相手の同意は不要
- 対象期間が「平成20年4月1日以降」に限られる点に注意
さらに詳しく知りたい方は「年金分割 日本年金機構ホームページ」で検索してみてください
元夫とのやりとりが心のハードルに…
実は、私が結婚していた期間の一部は「平成20年4月1日以前」も含まれるため、その分の年金分割には元夫との「合意」が必要でした。
離婚後、私は元夫と関わりたくなくて、心身ともにそれどころではありませんでした。
だから、合意分割に当たる部分はあきらめました。
もしかしたら、弁護士に依頼すれば、直接やりとりを避けて手続きを進められたのかもしれません。だけど、当時の私にはそこまで考える余裕も、行動する気力もなかったのです。
知っていても、できなかったかもしれない
離婚が突然のことで、正直、年金のことや制度のことまで考える余裕はありませんでした。
目の前の生活と、心のダメージと、子どもたちのこと。
ただ「前に進まなきゃ」という気持ちだけで、毎日をこなしていました。
今になって思うのは、もし離婚の準備期間があれば、もっとできることがあったのかもしれないということ。
でも、あのときの私は、どんなに知識があっても動けなかったと思います。
だからこそ
これから離婚を考える誰かが、「制度を知ったうえで、自分で選べる」ように。
そんな想いで、書いています。
“苗字”という名の小さなわだかまり
ずっと心に引っかかっていたのが「苗字」のことでした。
離婚後も私は、元夫の姓を名乗り続けていました。
理由はただひとつ。「子どもたちが混乱しないように」と思ったからです。
当時、小学生だったふたりに「旧姓に戻したらどう思う?」と聞いてみたところ、
返ってきたのは「苗字、変えたくない」のひとこと。
「ああ、やっぱりそうだよね」私はその気持ちを受け止めて、改姓をあきらめました。
離婚後の氏と戸籍のこと
※離婚後の戸籍や氏の取り扱いについては、法務省のホームページを参考にしています。
下記は子どもを母の戸籍に入れるケースです。
氏について
婚姻により氏を変更した方(たとえば妻)は、離婚後に以下の選択肢があります
- 婚姻前の氏に戻る
離婚届を提出する際に「婚姻前の氏に戻る」旨を記載することで、婚姻前の氏に戻ることができます。
- 婚姻中の氏をそのまま名乗る
離婚後も婚姻中の氏を名乗り続ける場合、離婚届とは別に「離婚の際に称していた氏を称する届」を市区町村役場に提出する必要があります。
これらの手続きにより、離婚後の氏の選択が可能です。
戸籍について
離婚すると、婚姻中に筆頭者でなかった方(たとえば妻)は、夫の戸籍から除籍されます。
子どもは自動的には母の戸籍に移りません。 夫の戸籍に残ります。
子どもを母の戸籍に入れたい場合のみ、家庭裁判所の許可+入籍届が必要です。
そして、私自身の“名前”を取り戻すまで
ふと思うことがあります。
離婚時、子どもたちに相談せずに、当たり前のように旧姓に戻してもよかったのかも。
時間が経てば、きっと自然に馴染んでいたと思うから。
月日が経つにつれ、私は気づきました。
「子どもたちのため」と思って元夫の姓を名乗り続けることが、実は少しずつストレスになっていたことに。どこか無理をしていたんだと思います。
「私だけ旧姓に戻す方法はないかな?」
インターネットで検索する日々
そしてたどり着いたのが「子どもが成人し、分籍して戸籍に自分ひとりの状態になれば、私だけ改姓できる」ということ
私は思い切って区役所に電話してみました。
するとその方法は合っていました。
引っかかることがあったので聞いてみました
「分籍すると、親子で別々の戸籍になりますよね?…なんだか縁が切れるみたいで少しこわいな」と。
すると、担当の方は
「親子の縁が切れることはありませんよ。結婚したら戸籍を出ていくので、それが少し早まるようなものです。」と、やさしく教えてくれました。
その言葉に、心の引っかかりが消えました。
そして、二男が18歳の誕生日を迎えたあと、私はすぐに手続きを始めたのです。
私が手続きを進めたときのリアル
離婚して10年以上、元夫の姓を名乗っていた私。
最初にしたのは家庭裁判所へ問い合わせでした。
そのとき教えてもらったのは、
- まずは「分籍」が必要
- それが済んだら、「氏の変更許可」の申立てを行う
- 手続きは郵送でできる
手続きの流れは
- 分籍してから2週間ほどで戸籍が更新され、必要書類を用意
- 家庭裁判所に必要書類・収入印紙・切手などを揃えて郵送
- 書類に不備があると返送されてきて、再提出
- 審判結果が届く
- 最後に市区町村役場で氏の変更の手続き
これが実際に届いた「氏の変更許可」の審判書です
上記は私のケースです。記憶があいまいな部分もあるので…
※詳しい流れはこちら
「氏の変更」の手続とは…(名古屋家庭裁判所)
こうして無事に、旧姓に戻すことができました。
…が、そこからがまた大変で。
マイナンバーカード、運転免許証、銀行、クレカ、証券口座、保険、通販サイトなどなど全部変更。
「え、まだあるの!?」って何度つぶやいたことか(笑)
でも、不思議とその手間さえ嬉しかったです。
面倒なはずなのに、「よし、これでリスタートだな」って思えた。
自分の名前に戻るって、ただの手続きじゃなくて
「自分の人生をまた歩き出すスイッチ」を押したような気分です♪
もし今、同じようにモヤモヤしてる人がいたら
「ひとりじゃないよ」って伝えたいです(*^^*)