「安心」を求めて窓口に行った私が得た、”甘えすぎ”の言葉がくれた人生のヒント

宮城県在住 女性のお金の専門家の浅野由香です。

私は現在シングルマザーです。次男と大学生の三男はまだ二人とも私の扶養に入っており、完全に自立できているわけではありません。年金ネットを確認したところ、将来受け取れる年金は年間100万円ほどしかないことが分かり、老後の生活に大きな不安を抱えるようになりました。

このままで本当に生活できるのだろうか。そんな強い不安をきっかけに、公的な相談窓口へ足を運んだのです。

 

私に必要だったのは「正論」ではなく「安心」でした。

 

相談に行く前は「少しでも安心できる道筋を教えてほしい」という気持ちでした。しかし、最初に言われたのは「家計簿をつけていますか?」という質問でした。不安で訪れたのに、最初に突きつけられたのは「数字」の壁。

私は細かく家計簿をつける習慣がなかったため、「詳しく数字を出してからでないと合理的なアドバイスはできない」と言われ、まずは家計簿を作ることになりました。家に帰り、レシートや通帳を広げ、時間をかけて数字を埋める作業は正直とても大変で、この作業が本当に不安解消につながるのかと少し面倒に感じていました。

 

「甘えすぎ」と言われた悔しさ

 

初回の相談はほとんどが家計簿の確認で終わり、不備を直して再度相談に出向きました。しかし、二回目も半分以上が家計簿の確認に費やされ、やっと本題に入れたと思ったら、「大学生のお子さんは甘えすぎですね。アルバイトをして仕送りを減らすべきです」と言われました。

学業を優先し、節約して暮らしている息子たちの努力を全く知らない人に、簡単に否定されたように感じ、強い怒りを覚えました。その後もこちらの状況に合っているのか分からない提案をされ、面談は「なんだか腑に落ちないまま」終わってしまいました。

 

相談者が本当に欲しがっているのは、正解ではなく「話を聞いてくれる人」

 

もちろん、すべてが無意味だったわけではありません。家計簿をつけ直したことで、自分のお金の流れを可視化できたのは良い経験でした。ただ、それ以上の安心感や、「未来への方向性」を示してもらえなかったことが残念でなりません。

相談に来る人は、不安や焦りでいっぱいです。正しい知識だけでなく、安心できる雰囲気や「自分の思いを受け止めてもらえた」という実感こそが、次の一歩を踏み出す力になると思うのです。

また、提案についても「子どもは甘えすぎ」「副業も視野に入れても良いですね」というような断片的なアドバイスではなく、その人の生活スタイルや希望に合った現実的な選択肢を示すべきです。例えば、iDeCoやNISAなどの制度を活用した節税、働き方の見直し、無理のない副収入の方法など、具体的で実行可能な道筋があるだけで安心感は大きく変わります

 

この経験があったからこそ、私は「安心して話せる存在」になりたい

 

この経験を通じて強く思ったのは、「相談者の気持ちにもっと寄り添ってほしかった」ということです。特に印象に残っているのは、「時間がないので早めに」「次の人が待っているので」という言葉です。限られた時間で効率的に進めたい気持ちは分かりますが、相談者にとっては「もう話す必要はないのかな」と気持ちがしぼんでしまう一言でした。

まずは「今どんな不安を抱えているのか」をじっくり聞くことに時間を使い、そして、その人の生活に合った具体的な選択肢を一緒に探せたらいいですよね。

相談とは単なる情報提供ではなく、その人の人生に寄り添うことです。どんな小さな一言でも、人の心に大きな影響を与えるのだと学んだからこそ、今後は私自身が「安心して話せる存在」として誰かの力になりたいと思っています。

 

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