遺族年金の減額と教育費への影響は

こんにちわ。京都に住む女性とお金の専門家 井上 里実です。

夫を亡くした後、家計を支える大きな柱となるのが「遺族年金」

しかし、この制度には見落としやすい落とし穴があります。

それは、子どもが18歳を迎えた翌年度から、年金額が大きく減ることです。

■ 遺族年金は2つの柱で成り立つ


※厚生労働省 遺族年金の見直しについてより抜粋

遺族年金は、

遺族基礎年金(国民年金部分)

遺族厚生年金(厚生年金部分)

の2つで構成されています。

遺族基礎年金は「18歳到達年度末までの子がいる」場合にもらえます。

しかし、子が18歳を迎えると遺族基礎年金が終了し、残るのは遺族厚生年金だけになります。

■ 実際の金額変化(モデルケース)

夫:会社員 年収500万円(標準報酬月額 約31万円)、妻:40代前半、子ども2人(高校2年・3年)の場合

【現在】(子ども2人)

遺族基礎年金:約124.6万円/年(約10.38万円/月)

遺族厚生年金:約61.2万円/年(約5.1万円/月)

合計:約185.8万円/年(約15.48万円/月)

【1年後】(上の子が18歳)

遺族基礎年金:約101.8万円/年(約8.48万円/月)

遺族厚生年金:約61.2万円/年(約5.1万円/月)

合計:約162.9万円/年(約13.58万円/月)

【2年後】(下の子も18歳、中高齢寡婦加算開始)

遺族厚生年金:約61.2万円/年(約5.1万円/月)

中高齢寡婦加算:約60.52万円/年(約5.04万円/月)

合計:約121.72万円/年(約10.14万円/月)

※ここで紹介した金額は、夫が会社員(厚生年金加入)の場合です。
夫が自営業やフリーランス(国民年金のみ)だった場合、遺族厚生年金はなく、18歳を迎えた翌年度から遺族年金はゼロになります。
年金による収入が一切なくなるため、さらに早い段階から生活費の備えが必要です。

 

■ 大学進学期に直撃

大学の学費は私立文系でも年間100万円以上、理系や医学部ならさらに高額です。

生活費や交通費、教科書代を含めると、年間150万円近くかかることもあります。

そんな時期に遺族年金が減額、これは家計にとって大きな打撃です。

 

■ 対策の一つは「給付型奨学金」+「授業料等減免」

文部科学省 高等教育の就学支援新制度特設ページ

給付型奨学金は、返済不要で所得基準を満たせば受けられる制度です。

ひとり親家庭や低収入世帯は対象になる可能性が高く、大学進学の大きな助けになります。

申請には前年の所得が基準になるため、高校2年生の時点での家計状況が重要になります。

 

離婚後、子どもは遺族年金を受給できるか?

遺族年金は、配偶者や子どもなど生計を共にしていた遺族に支給されます。

そのため、離婚後は「妻・夫」という関係がなくなり、原則として元配偶者の遺族年金は受け取れません。

ただし、ケースによっては元夫が亡くなる直前まで養育費を支払っており、子どもの生活を実質的に支えていたと認められる場合、子どもに受給権が発生することがあります。

 

■ まとめ

・子どもが18歳を迎えると遺族基礎年金が終了し、大きく減額される

・減額のタイミングは大学等進学期と重なることが多い

・給付型奨学金などの制度を活用して、家計を守る準備を

 

遺族年金は有難い制度ですが、教育費のピークとなる時期に受給額が減額してしまいます。さらには今後、年金改革で遺族厚生年金受給の有期化、中高齢寡婦加算金の廃止など、大きく改正されることが決まっています。

夫を亡くした後の家計は不安が尽きませんね。しかし制度を正しく理解し、最大限に活用することで、進学の夢を諦めずに叶えることもできます。

 

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まずは、制度を正しく知ることが、将来の安心につながります。
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