離婚時の子どもの養育費・婚姻費用いくらもらえる?どう決まる?~会社員・自営業~

養育費と婚姻費用

離婚してシングルマザーになるかもしれないと思ったら、まず考えるのは「離婚後はどう子ども育てていくか」ということですよね。

夫から養育費は期待できないと諦めてしまわず、きちんと支払ってもらえるよう手を尽くしましょう。

そのために必要な基礎知識をご紹介しますね。

養育費・婚姻費用とは

「養育費」とは、子どもが健やかに成長するために必要な費用で、両親がその経済力に応じて養育費を分担するものです。

ただし、離婚の際には養育費だけでなく慰謝料、財産分与や面会交流など、話し合うべきことがたくさんあります。

離婚までに時間がかりそうな場合などは、まずは「婚姻費用」を求めることができます。

 

養育費・婚姻費用はいくらぐらい?

養育費は父母の間の話し合いで自由に決めることができます。

お互い「いくら?」と合意がとれていたら、その金額になります。

しかし、お互い話し合いがなかなかできないのが「離婚とお金」ですよね。

その時に目安になるのが家庭裁判所が作成した「算定表」です。

 

例えば
子どもが2人とも15歳以上
パート(年収100万円)の妻が
会社員夫に請求する場合、養育費と婚姻費用が月額いくらぐらいになるか、目安を見てみましょう。

 

養育費・婚姻費用の目安

子どもは2人とも15歳以上で、パート(年収100万円)の妻が会社員夫に請求する場合

 養育費婚姻費用
夫(会社員)の
年収
400万円 6~8万円8~10万円
600万円 10~12万円14~16万円
800万円 14~16万円18~20万円
1,000万円 18~20万円22~24万円

資料:裁判所「改定標準算定表(令和元年版)」の(表5)・(表15)をもとに執筆者作成

 

養育費算定表の見方

算定表は、一見難しそうに見えるので、見方も合わせてご紹介しますね。

算定表は、子どもの年齢と人数ごとに参照すべき表が別れています。

該当の表を参照すると、両親のそれぞれの収入から月額いくらになるか目安が分かるようになっています。

養育費の場合ですと、次の表1~9のようになっています。

養育費算定表 表1~9

(表1)養育費・子1人表(子0~14歳)
(表2)養育費・子1人表(子15歳以上)
(表3)養育費・子2人表(第1子及び第2子0~14歳)
(表4)養育費・子2人表(第1子15歳以上,第2子0~14歳)
(表5)養育費・子2人表(第1子及び第2子15歳以上)
(表6)養育費・子3人表(第1子,第2子及び第3子0~14歳)
(表7)養育費・子3人表(第1子15歳以上,第2子及び第3子0~14歳)
(表8)養育費・子3人表(第1子及び第2子15歳以上,第3子0~14歳)
(表9)養育費・子3人表(第1子,第2子及び第3子15歳以上)

資料:裁判所「改定標準算定表(令和元年版)」の(表5)をもとに執筆者作成

子どもが2人とも15歳以上の例では、「(表5)養育費・子2人表(第1子及び第2子15歳以上)」を参照します。

 

養育費算定表の使い方

養育費の見方は、横軸が子育てしている親(権利者)の側の収入、縦軸が養育費を支払う別居親(義務者)の側の収入となります。

目盛りが2つあるのは、外側が会社員・パートなどのための給与所得者のもの、内側が自営業のものです。

子どもが2人とも15歳以上で、パート(年収100万円)の妻が子育てしており、会社員夫に請求する場合、どちらも給与所得者のため、外側の目盛りに年収をあてはめ、伸ばしたラインが交差するところが養育費の目安の金額となります。

 

養育費算定表の見方:夫が会社員の場合

養育費・子2人表(第1子及び第2子 15才以上)

資料:裁判所「改定標準算定表(令和元年版)」の(表5)をもとに執筆者作成

養育費は経済力に応じて負担するため、夫の年収に応じた金額となるよう考慮されていますね。

 

算定表にあてはめる「収入」とは?

給与所得者の場合の年収は、源泉徴収票の「支払金額」が算定表にあてはめる収入になります。

給与所得の源泉徴収票

自営業の場合の算定表の見方は?

子どもが2人とも15歳以上で、パート(年収100万円)の妻が子育てしており、自営業の夫に請求する場合はどうでしょうか?

その場合は、算定表の目盛りが違うことに注意!

「(表5)養育費・子2人表(第1子及び第2子15歳以上)」を使うのは夫が会社員の場合と同じですが、自営業のため内側の「自営」の目盛りを参照します。

 

養育費算定表の見方:夫が自営業の場合

養育費・子2人表(第1子及び第2子 15才以上)
資料:裁判所「改定標準算定表(令和元年版)」をもとに執筆者作成

 

自営業の場合の算定表にあてはめる「収入」は?

夫が自営業、妻がパート勤務の場合、自営業者の年収について少し計算が必要になります。

自営業者の場合、確定申告書の「課税される所得金額」が年収にあたります。

しかし、これは税法上の考慮により実際に支出されていない控除を含むので、その控除の金額を加算する必要があります。例えば、基礎控除(48万円)や青色申告特別控除(55万円または65万円)などです。

同様に、実際に支出していない専従者給与の控除もあれば加算します。

少しややこしいですね。。

確定申告書をまずは確認

確定申告書
資料:国税庁「申告書B【令和3年分以降用】」をもとに執筆者作成

 

 

青色申告決算書も確認

青色申告決算書

夫の確定申告書に記載されている課税される所得金額が500万円、実際に支出のない控除として基礎控除48万円と青色申告特別控除65万円があったなら、613万円になります。

 

養育費・婚姻費用を決める手続きは

養育費は「子どもの権利」です。

毎月いくら・どの銀行口座にどのように支払うのかしっかりと公正証書に落としておきましょう。

公正証書にしておくと、支払ってもらえない場合に強制執行ができます。

また、話し合いが難しければ、家庭裁判所の調停・審判・裁判で決めることができます。

不払いがあれば、家庭裁判所から支払いを勧告する制度を利用することもできますし、公正証書の場合と同じように強制執行が可能です。

 

算定表はあくまでも目安

算定表は、あくまで標準的な養育費・婚姻費用を目安として早い解決を図るものです。

最終的な金額は、家庭ごとの事情が考慮されて決まるので、この算定表とおりの金額でなければならないわけではありません。

私の個別相談を受けた方は、算定表の金額を超えるような特別な事情がある場合を伝えて、算定表以上になった方もいます。

 

離婚とお金のご相談をお受けしています

離婚にまつわる、養育費・財産分与・家・保険・離婚後の生活・シングルマザーの支援制度など必要なお金について具体的にお話します。

個別相談のスケジュールははこちらよりご覧ください

ZOOM相談可能!個別相談のご案内(オンライン・対面・電話)

お役に立ちましたらうれしいです。