離婚調停の費用と養育費についての考え方

調停中の方、離婚調停を考えている方向けに、私が経験した「調停」についてお伝えします。

 

調停とは

離婚を決める場合、9割近くの方が「話し合い」で決めます。

これを「協議離婚」といいます。

 

しかし、離婚について話し合いがまとまらない場合や話し合いができない場合には、家庭裁判所の手続きを利用することができます。

裁判所での手続きというと、ドラマのような裁判を想像してしまうかもしれませんが、いきなり裁判にはなりません。

裁判所で調停委員が間に入って話し合いをする調停がまず行われます。

 

調停でも解決しない場合に、裁判といった手続きに進みます。

 

調停の申し立て

(1)どこに申し立てるの?

裁判所ならどこでも、というわけではありません。

家庭でのもめごとですから、調停は家庭裁判所で申し立てます。

 

家庭裁判所は全国にありますが、申し立てることができるのは原則として相手方の住所地の家庭裁判所になります。

当事者が合意できれば、他の家庭裁判所でもできます。

申し立てた後、家庭裁判所から夫婦それぞれに「家庭裁判所に何日、何時に来てください」という案内が届きます。

 

(2)用意しなければならないものは?

申立書のほか、申し立てた家庭裁判所の指定する書類
戸籍謄本
年金分割のための情報通知書
収入印紙(1,200円分)
連絡用の切手代(大阪家庭裁判所の場合は1,130円)

 

申し立てた家庭裁判所によって書式や名称が異なりますが、申立書以外にも連絡先の届出書や事情説明書など提出を求められることがあります。

 

戸籍謄本は本籍地のある自治体、年金分割のための情報通知書は年金事務所で、それぞれ請求しておきましょう。

年金分割のための情報通知書は、年金分割について調停で話し合うときに必要になります。

(3)調停にかかる費用は?

気になる費用は、(2)で出てきた収入印紙代1,200円と、連絡用の切手代で、申し立てた方が払います。

連絡用の切手代は、家庭裁判所によって多少違うようです。大阪家庭裁判所の場合は1,130円です。

 

なお、例えば、夫と別居するため遠方の実家に戻っている方などは、原則として相手方(夫)の住所地の家庭裁判所で調停をするため、調停の際に交通費などがかかってしまいます。

また、弁護士を立てる場合は弁護士への費用は別途かかります。

 

(4)弁護士は必要?

弁護士を立てなくても、裁判所は個人で利用できます。

 

家庭裁判所で手続きや書類について教えてもらえますし、わからないことは調停委員にも聞いてみましょう。

調停は数回にわたって行われることが多いので、ひとりでは難しいと感じたら途中から弁護士を依頼することもできます。

 

調停を申し立てるだけならば、それほど大きな費用になりませんが、弁護士を依頼するかもしれないなら弁護士費用について考えておきましょう。

弁護士費用は、依頼する弁護士や調停の内容によって異なります。

弁護士を依頼した方が良いか迷っているなら、まずは無料法律相談を受け、弁護士の意見や費用の見込み額を聞いてみましょう。

 

どうやって話合うの?

調停は、裁判官1名と調停委員2人以上で構成される調停委員会が進行役を務めます。

夫婦別々に部屋に呼び出し、それぞれから話を聞きます。

 

夫婦で会わないで済むような配慮もあります。

裁判官がいつも同席するとは限らないので、主に調停委員が一方から聞き取った話を他方に伝えることを繰り返す形で、離婚をするかどうか、離婚する場合は親権・養育費・面会交流・財産分与・年金分割などを話し合っていきます。

必要に応じて調停は複数回行われますから、1回の調停ですべて決まってしまうわけではありません。

ただし、調停を続けても合意の見込みがないと調停委員会で判断すると調停は不成立になります。

 

離婚を話し合う上で大切なこと

夫婦それぞれの事情や話し合い方があると思います。

当事者だけの話し合いが良いのか、弁護士を介した方が良いのか、調停が良いのか。

お子さんのためにはどのような形や決め事が良いのか。

ここの見極めがとても大切になってきます。

 

私の場合は、主に経済的な問題を夫婦だけで話し合うことが難しく、調停になりました。

しかし、調停委員は、子どもにかかる教育費や生活費のことに詳しい方ばかりではありません。

教育費や生活費にどのくらいお金がかかるのか、調停委員にわかりやすく伝えるために私は資料を1枚作成しました。

 

そこから調停委員の態度がかわりました。

口頭ではなかなか伝わらないときは、資料を作成して提出することがおすすめです。

調停委員に理解してもらいやすく、また調停委員も相手に伝えやすくなります。

 

離婚後の生活について整理しておこう

離婚調停といっても、「まだ離婚に対する気持ちの整理がつかない」という方もおられるでしょう。

それでも、離婚をした後の生活については、経済的な面からもきちんと考えておくことは大切です。

お子さまがいる場合はなおさらです。

 

養育費については、裁判所では「養育費算定表」という資料を基に、「夫の職業収入・母の職業収入・子どもの人数と年齢を考慮すると、一般的に必要なのはいくら」という形で決められます。

 

養育費算定表は裁判所のホームページで公開されていますから、一度確認しておきましょう。

すべての家庭の個別の事情に沿ったものではありませんから、算定表の金額では足りなさそうなら、「離婚後、何のためにいくらかかる見込みなので、いくら足りないか」を整理しておきましょう。

 

お役に立ちましたら、うれしいです。