生前贈与って何?~相続前対策のキホンを解説します~【知っトク情報】

こんにちは!

富山で活動する、女性のお金の専門家・山岡加代子です。

今回は「生前贈与」のお話。

将来発生するかもしれない「相続税」を軽減するための対策の一つです。

 

・・・あ、ウチには関係ないなと思うことなかれ!

相続税がかからない場合にこそ、使ってお得な贈与の制度もありますよ。

 

そもそも相続とは?

相続=相続税のことではありません。

相続とは、亡くなった人の財産(すべての権利や義務)を次世代の人が引き継ぐこと。

金額の多い少ないにかかわらず、誰にでも起こることです。

まずは、ココの誤解をといておきましょう!

 

そのうえで、

相続税がかかるかどうか?

生前贈与をした方がいいのか?しなくてもいいのか?

など、判断していくことが大事になってきます。

 

生前贈与を考える判断基準とは?

相続税がかかるかどうかは、相続財産が

相続税の基礎控除(=3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかどうかで判断します。

例えば、

法定相続人が配偶者と子ども2人であれば、3000万円+600万円×3人=基礎控除4800万円。

財産の総額が基礎控除の範囲内であれば、相続税はかかりませんし申告の必要もありません。

 

また、これを超えたとしても、

□配偶者控除

□未成年者控除

□障害者控除

□財産の評価方法による評価減など

いろいろな控除や評価次第で範囲内に収まるケースもありますので、まずはざっくり試算をしてみることをおすすめします。

 

どんなものが相続財産になるの?

イメージしやすいところでいうと、

現金、預貯金、株式、投資信託などの金融商品、土地・建物など。

その他、貴金属や骨董品、車、借地権やゴルフの会員権などの権利も含まれます。

そして、

ローン、借金、未払金(税金・家賃・医療費など)のマイナス財産も含まれます。

プラスの財産、マイナスの財産を合わせたものが「相続財産」になることを知っておきましょう。

 

暦年課税と相続時精算課税制度

相続税がかかってきそうな場合は、相続前に財産を減らす工夫をしてみましょう。

「暦年課税」「相続時精算課税制度」・・・聞きなれないコトバかと思いますが、生前贈与の代表的な2つの方法です。

以下、この2つを比較してみました。

暦年課税

相続時精算課税制度

贈与税の非課税額 贈与を受ける人ごとに

年間110万円まで

贈与する人ごとに

累計2500万円まで

非課税額を超えた場合の課税額 (贈与額―110万円)×超過累進課税(10~55% (贈与額―2500万円)×一律20%
贈与者 誰からでもOK 60歳以上の父母や祖父母
受贈者 誰でもOK 18歳以上の子や孫
申告 110万円を超えたら申告が必要

超えなければ不要

金額に関わらず

非課税額内でも申告が必要

相続財産への加算 相続が発生する直前3年間の贈与を加算 贈与があった全額を加算

相続財産が基礎控除の範囲内なら税負担はない

回数制限 何度でもOK

ただし、相続時精算課税制度を選択した後は使用できない

何度でもOK

いったん選択すると相続時までやめることはできない

 

※「相続時精算課税制度」をいったん選択すると元には戻れませんが、そもそも相続税がかからない人に税負担はありません。

暦年課税の非課税枠を気にすることなくお金を渡し役立ててもらえることに利用価値があるのでは?と思います。

 

その他の贈与の方法

暦年課税や相続時精算課税制度を利用しなくても、次世代に引き継ぐことは可能です。

そもそも生活費や教育費をその都度支払ってあげることは贈与税の対象外です。

都度贈与といわれるこの制度は「必要に応じて」というのがポイント!

将来の分まで渡すと非課税にはならないので気を付けてくださいね。

 

また、金融機関との契約が必要にはなりますが、

教育資金の一括贈与では1500万円まで、

結婚・子育て資金の一括贈与では1000万円まで非課税で贈与できます。

 

住宅取得等資金の贈与も検討してみるといいですね。

 

おわりに

基本的に、相続財産が基礎控除の範囲内であれば生前贈与の必要はありません。

でも、

受け取った人に贈与した財産を役立ててもらえる、喜んでもらえるところを実際に見られるのは生前贈与の良さかなと思います。

私の理想は、DIE WITH ZEROです(笑)

 

この相続税のルールは、来年(2024年)1月1日から変わります。

・「暦年課税」では相続発生直前3年間の贈与を加算→7年間の贈与加算に!

・「相続時精算課税制度」に110万円の控除が追加!など、国は早い段階で次世代に資産を承継してほしいと望んでいるようです。

 

対策には時間をかける必要が出てきますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。

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