扶養から外れて働くと年金がいくら増える?

こんにちは。
名古屋市在住のマイライフエフピー®認定ライター・女性のお金の専門家 山根純子です。
扶養から外れて働くと年金が増える?
ところで、老後のお金って気になりますよね。
よく「将来の年金が心配……」「もっと働きたいけど、年金はいくら増えるの?」という公的年金に関する質問を受けます。
40代ともなると、子どもが中学、高校と進学して子育てが一段落。そろそろ再就職を考えたりパートからフルタイムと働く時間を増やす方が多くなります。
高校・大学と増える教育費と老後の備えを同時に準備しなくてはならないので、40代・50代はとても大変です。少しで早めに、将来の老後に備えたいですね。
まず公的年金の仕組みを確認します。
公的年金は2階建て構造になっています。1階は20歳から60歳の全ての人が加入する国民年金(老齢基礎年金)、2階は会社員・公務員が加入する厚生年金(老齢厚生年金)です。国民年金(老齢基礎年金)は、40年間払い続けて、満額83万円となります。
主婦や扶養内パートの方が今後、公的年金を増やすためには2階部分の厚生年金を増やす必要があります。厚生年金は払い込んだ保険料に応じて年金額が増えていきます。
厚生年金に加入する条件とは?
パートやアルバイトの短時間労働者が厚生年金に加入する条件は、下記になります。
1か2の条件が必要になります。
- 所定労働時間が一般社員の4分の3以上であること
- 以下5つの条件を満たす労働者
- 勤務先の従業員が51人以上
- 週の所定労働時間20時間以上
- 年収106万以上(賃金月額が月8.8万円以上)
- 2か月以上の雇用期間が見込まれる
- 学生でないこと
実際いくら増えるの?
扶養から外れて厚生年金に入った場合、将来、年金額がいくら増えるか計算してみました。
現在の年齢と60歳まで働いた場合、65歳からの厚生年金はいくら増えるのか?
40歳で年収300万円として、60歳まで20年働き続けると、将来(65歳~)からもらえる年金額が約32.9万円増えます。月額にしたら、27,500円です。一人分の食費にはなりそうです。
45歳から年収300万円を目指し、60歳まで15年働き続けると、将来(65歳~)もらえる年金額が約24.7万円増えます。月額にしたら、20,580円です。
負担した厚生年金保険料の額に応じて、厚生年金は増えていきますので、少しでも高い年収で長く働くと将来もらえる年金額もどんどん増えていきます。
こうすると、少しでも早く長く働いた方がいいと思いますが、気になるのが厚生年金保険料を含む社会保険料です。
健康保険・雇用保険の制度は意外と手厚い
気になる社会保険料の負担増ですが、社会保険料は、下記の4つ。
扶養から外れると、厚生年金保険料ばかりでなく、同時に健康保険料料、40歳以上は介護保険料も負担することになります。また、週20時間以上働くと雇用保険にも加入することになります。収入に対して厚生年金保険料は9.15%なのですが、社会保険料全体で見ると約15%を負担することになります(給料天引ききされます)。
年収300万円の場合、年間で社会保険料は約46万円。さらに所得税や住民税も年収に応じて増えていくことになります。
年収300万円の場合
社会保険料負担額 約46万円(概算)
■厚生年金保険料 9.15% 27.4万円
■健康保険料 4.955% 14.8万円
■介護保険料 0.795% 2.3万円
■雇用保険料 0.55% 1.6万円
(※協会けんぽ 東京都の料率で試算)
社会保険料の負担はかなり重く感じますが、厚生年金に加入すると老後の年金が増えるだけでなく、障害を負ったり死亡したりした時には、障害年金や遺族年金がもらえます。
健康保険や雇用保険には、万一に備える安心の制度があるので、扶養でいるよりも社会保障がずっと充実してきます。
ざっと知っておいた方がいい制度を挙げます。
■健康保険
病気やケガで一定期間会社を休んだ場合、給与の約2/3が最長1年6カ月保障される傷病手当金、産休期間に給与が支払われない場合、給与の約2/3が支給される出産手当金はとても手厚い制度です。
■雇用保険
育児休業した人には育児休業給付金、失業した時には失業手当、早期に再就職が決まったときには再就職手当がもらえます。また、資格取得のために国の認可を受けた講座を受講した場合は、受講費の一部を国が負担する教育訓練給付制度も見逃せません。雇用保険は、保険料が少ない割にとても、充実した制度があります。
国の社会保険制度を知ると、意外と手厚いことがわかります。社会保険制度を知れば、保険の見直しなどにも役に立ち、保険のかけ過ぎの防止にもなります。我が家の民間の保険は、必要最低限です。
社会保険の適用が今後ますます加入要件が拡大になります
政府は、短時間労働のパートやアルバイトでも社会保険に加入するように勧めています。今は、従業員数51人以上の企業が適用ですが、今後10年かけて段階的に企業規模要件を縮小し、最終的には撤廃していく予定です。また、年収の要件も今後3年以内に撤廃される予定です。現在、従業員50人以下の企業でパート勤務をしている方や年収106万円以内で働くように調整している方は手取りが減ることになりますので、気に留めておいた方がいいですね。
働き方は人それぞれですが、制度の見直しにより、近い将来はパート・アルバイトの方も社会保険への加入が基本となっていく流れです。
公的年金は、期限なく死ぬまでもらえ長生きすればするほど多くもらえます。
「公的年金を増やしたい」と考える方は、ワークライフバランスを考慮しながら今度の働き方を考えてもいいかもしれません。
家計相談をご希望のかたはこちらよりご連絡下さい。