ひとり親控除と寡婦控除の違い~離婚・死別・未婚の場合~

2020年より寡婦控除・特別の寡婦控除が変わり、寡婦控除・ひとり親控除になりました。

今回は、税金の計算の際に所得から控除してくれる「寡婦(寡夫)控除」の変更についてお伝えします。女性を中心とした内容になりますが、シングルファーザーにも役立つ内容です。

 

ひとり親控除と寡婦控除~離婚・死別・未婚の場合

 

寡婦控除

まず「寡婦」という言葉自体も慣れないと思うのですが、一般的に夫と死別または離婚して、再婚しないでいる女性を差します。

このような女性のために、条件にあてはまる場合、所得から一定額を控除する「寡婦控除」という税金面の優遇制度があるのです。

この制度の変更が、2020年の所得にかかる納税額の計算から適用されます。

2020年の年末調整、2021年に行う確定申告から変わるので、注意してくださいね。

 

なお、妻と死別または離婚して再婚しないでいる男性の場合は「寡夫」と言います。寡夫に対する控除についても変更がありますので、確認しておきましょう。

2020年から寡婦・寡夫の所得控除は2種類に

 

2019年までの寡婦控除・特別の寡婦控除とは?

2019年までの所得にかかる税金に対しては、寡婦(寡夫)控除というと

「(一般の)寡婦控除」「特別の寡婦控除」「寡夫控除」の3種類がありました。

女性に適用されるのは「(一般の)寡婦控除」「特別の寡婦控除」で、以下の条件を満たした場合です。

生計を一にする子どもがいれば、(一般の)寡婦控除により所得税27万円・住民税26万円が所得から控除されます。
さらに、本人の合計所得金額が500万円以下の方は、「特別の寡婦」として所得税35万円・住民税30万円の控除があったのです。

※合計所得金額500万円以下とは、2020年以降は給与収入で考えると約678万円未満であることが基準になります。

 

結構、ややこしいですね。

離婚または死別してシングルマザーになって平均的な収入を得ている人は、特別の寡婦控除の対象となることが一般的です。

夫と死別(生死不明含む)した人は、合計所得金額500万円以下なら、子どもがいない場合でも再婚するまで寡婦控除が受けられるのですね。

 

シングルファザーに対する控除は?

寡婦は女性を指す言葉ですから、寡婦控除は適用されません。
ただし、シングルファーザーに対しては、2019年分までの所得に対して「寡夫控除」があります。

 

2019年までの寡夫控除の要件

その年12月31日時点で

ア.合計所得金額が500万円以下

イ.妻と離婚または死別した後、婚姻していない

ウ.合計所得金額38万円以下の生計を一にしている子どもがいる

 

以上のすべてを満たす場合には、所得税27万円・住民税26万円が所得から控除されます。

同じように子どもを育て、同じように合計所得金額が500万円以下の場合でも、シングルマザーなら所得税35万円・住民税30万円の控除を受けられるのに、シングルファーザーの場合は控除が少なかったのですね。

 

2020年からは「ひとり親控除」になる

2019年までは、シングルマザーとシングルファーザーとで税金面での優遇に差があるだけでなく、寡婦(寡夫)控除は、未婚でひとり親となった人に対しては適用されませんでした。同じひとり親なのに税金面で平等ではない状況があったのです。

そこで、2020年からは、以下の要件を満たせば「ひとり親控除」の適用を受けられるようになりました。この変更を受けて、寡夫控除がなくなります。

 

2020年からのひとり親控除・寡婦控除のまとめ(女性の場合)

 

ひとり親に対する所得控除の要件

その年12月31日時点で

ア.住民票に事実婚の配偶者がいる旨の記載がない

イ.本人の合計所得金額が500万円以下

ウ.生計を一にする子ども(総所得金額等が48万円以下)がいる

 

以下の条件を満たすと、

  • シングルマザーかシングルファーザーか
  • ひとり親となった原因が何か(未婚・離婚・死別・生死不明)

にかかわらず、所得税35 万円・住民税30万円の「ひとり親控除」を受けられるようになりました。

 

他方、シングルマザーは2019年までは本人の所得がどんなに多くても一般の寡婦控除は受けられていましたが、2020年からは合計所得金額が500万円を超えたらひとり親控除も寡婦控除も受けられなくなっています。

 

2020年からの寡婦控除は?

その年の12月31日の時点で、子どもがいないためにひとり親控除に該当しなくても、以下の要件に当てはまる人は寡婦控除(所得税27万円・住民税26万円)を受けられます。

 2020年以降の寡婦控除

その年12月31日時点で

ア.住民票に事実婚の配偶者がいる旨の記載がない

イ.本人の合計所得金額が500万円以下

ウ.<離別の場合のみ>扶養親族(合計所得金額が48万円以下)がいること

 

2020年から寡婦控除を受けるには、寡婦となった原因によって要件が異なります。死別(生死不明を含む)であればアとイの要件のみで良いのですが、離婚の場合は子どもではない扶養親族がいることが要件となっています。

 

なお、2020年以降は、扶養親族・生計を一にする子どもの所得要件は48万円以下となっており、2019年までの38万円より引き上げられています。

 

しかし、他の所得控除も合わせて変わっているため、収入をベースに考えて扶養親族や子どもがアルバイトをしていても年間103万円以下であることという点には変わりはありません。

 

今まで寡婦(寡夫)控除があることを知らずに、申請していなかったという声もよく伺います。でも、大丈夫です。

税金は、確定申告の時期を過ぎても更正の請求といって、申告し忘れた「寡婦(寡夫)控除」の手続きができるからです。

年末調整で申請し忘れた「寡婦(寡夫)控除」の手続きをして、5年分の税金の納め過ぎが戻ってきたシングルマザーさんもいますよ。

諦めないでくださいね。

 

高校の授業料・大学の奨学金にも影響?

ひとり親控除・寡婦控除を申請すると税金面が優遇され、納税額が少なくなります。

 

それだけでもありがたいのですが、保育料や高校の授業料、大学の奨学金も「保護者の住民税額」などで決まってきます。税金だけでなく、子どもにかかるお金(支出)もプラスの影響があるのですね。

 

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【給付型奨学金】国の高等教育の修学支援新制度ってどんな制度?

 

ひとり親控除・寡婦控除以外にも

生命保険料控除

医療費控除(セルフメディケーション税制)

確定拠出年金(iDeCo)

扶養(親など)

 

など、該当する場合は申請を忘れないようにしましょうね。

お役に立ちましたら、うれしいです。

 

私自身、離婚するまで「寡婦(寡夫)控除」の存在は知りませんでした。

離婚当時勤めていた会社で、離婚後総務の方に手続きなどお話していると、

「実は私の娘もね・・・」なんて話になり

「そうそう寡婦控除も申請してね」と思い出したように教えてくれました。

寡婦控除申請漏れがありましたら、是非ご確認くださいね。

 

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