令和6年改正!返済不要の給付型奨学金制度について

令和6年度から給付型奨学金制度(高等教育の修学支援新制度)改正で支援対象が広がる

給付型奨学金とは正式には「高等教育の修学支援新制度」なのですが、一言でお伝えすると2020年から始まった国のありがたい制度です。

例えば、私立大学の下宿の場合、最高670万円支援してくださいます。
返済不要の給付型となります。

進路にもより支援額が変わります

最高約670万円:私立大学に自宅外から通う場合(4年合計)

最高約490万円:私立大学に自宅から通う場合(4年合計)

最高約563万円:国公立大学に自宅外から通う場合(4年合計)

最高約383万円:国公立大学に自宅から通う場合(4年合計)

最高約110万円:国公立専門学校(2年制)に自宅から通う場合

最高約436万円:私立専門学校(4年制)に自宅から通う場合

そもそも「大学無償化」「高等教育の就学支援新制度」って何?という方はこちらを参考になさってくださいね

【給付型奨学金】最高670万円の支援!高等教育の修学支援新制度ってどんな制度?~令和6年改正~

さらに2024年度(令和6年度)に「授業料減免等の中間層への拡大」になる予定です。
他にも奨学金関連で「大学院(修士段階)の授業料後払い制度の創設」「貸与型奨学金における減額返還制度」も改正予定です。

そして、3人以上の子どもがいる多子世帯について、2025年度から子どもの大学授業料などを無償化する方針も出ましたので、ますます注目ですね。

いずれも大学などでの費用に関する支援を拡大するものです。令和6年度のそれぞれの変更点をみていきましょう。

変更点1「授業料減免等の中間層への拡大」

2020年4月から始まった「高等教育の修学支援新制度」は、大学や専門学校などに通う住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生を対象に、授業料・入学金の免除または減額(授業料等減免)と給付型奨学金の支給の2つの支援を行うものです。

支援の家計基準として、モデルケースでは世帯年収380万円程度までを対象としています。
※あくまでモデルケースですので、注意です。正確にはこちらにご紹介しています。

【給付型奨学金】最高670万円の支援!高等教育の修学支援新制度ってどんな制度?~令和6年改正~

しかし、それを超える世帯年収があり、これまで支援の対象外とされてきても、扶養する子どもが3人以上いる「多子世帯」の場合や、文系学部よりも授業料などが高くなる理系学部(理学部・工学部・農学部など)に通う場合には、新たに世帯年収600万円程度までを支援対象に拡大されます。

多子世帯の場合

扶養する子どもの人数が3人以上いる世帯の学生の方を対象として、第Ⅰ区分の住民税非課税世帯の4分の1の支援になります。私立大学に自宅外から通う場合、住民税非課税世帯なら授業料減免と給付型奨学金の合計で年間に約161万円の支援があるため、多子世帯として新たに対象となると約40万円の支援になります。

支援を申し込んだ時点で扶養されている子どもが3人以上であることが条件となっていることです。3人兄弟の家庭でも、一番上の子どもが大学生で下の2人が高校生なら一番上の子どもが条件を満たし援助を受けられます。他方、一番上の子どもが既に社会人になり親の扶養から外れた後は、下の子どもたちは条件を満たすことができません。

※(2023年12月追記)政府は3人以上の子どもがいる多子世帯について、2025年度から子どもの大学授業料などを無償化する方針を固めましたね。ただし「無償化」と言ってもどこまでなのか、所得要件以外の資産要件はどうかチェックですね。

理・工・農学部へ通う場合

私立の大学などに通う理・工・農学部など理系学部に通う学生が支援の対象となります。学部・学科の名称だけで判断されるのではなく、学ぶ内容に理学・工学・農学が含まれれば対象となる可能性があります。対象となる学部・学科は、文部科学省から公表される予定です。

支援の金額は、文系学部の授業料平均との差額になります。文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立大学の平均の年間授業料は文系学部が約82万円、理工学部が約111万円ですから、この差額の援助が受けられるとなると進路選択の幅が広がります。

ただし、世帯年収600万円程度まで年収目安が拡大されるといっても、給与所得者の父、専業主婦の母、大学生、中学生以下のきょうだいの4人家族をモデルケースとしていて、家族構成や働き方によって年収上限は変わることに注意しましょう。

大学院(修士段階)の授業料後払い制度の創設

大学院(修士段階)の授業料について、在学中は支払うことなく、卒業後の所得に応じて後払いすることができるようになります。後払いできる授業料の上限は、国公立では国立授業料の標準約54万円、私立では私立授業料の平均的な水準の約78万円と予定されています。後払いは修了後すぐに支払いが始まるわけではなく、就職して本人の年収が300万円程度になってから始まり、所得に応じた金額を支払います。

大学祖業後は就職するつもりだったけれど、大学院でより専門的に学びたくなったという場合、いきなり大学院の授業料を用意するのは難しい、そこまで親に負担をかけられないといった事情もあるでしょう。大学院を修了してから、自分でその分の授業料を支払えるようになるまで待ってもらえるのは嬉しいですね。

 

貸与型奨学金における返還月額の減額

日本学生支援機構の貸与型奨学金を利用すると、貸与終了後は返還していかなければなりません。返還期間は10年以上に及ぶこともあり、結婚・子育てと同時に行わなければならい方もいらっしゃるでしょう。そのような貸与型奨学金を返還している方に向けた、子育て時期の経済的負担に配慮した変更です。

また、300万円を超える収入があっても、結婚・子育てをしながら授業料の後払いをするのは負担が重くなってしまうので、例えば子どもが2人いれば、年収400万円程度までは所得に応じた納付は始まらないなど配慮がされています。

減額返還制度を利用する条件の緩和

返還が困難になったら「減額返還制度」という救済措置があります。減額返還制度とは、経済的に困難な事情があっても毎月返還する金額(返還月額)を減らせば返還できる場合に返還期間を延長し、当初の返還月額を2分の1または3分の1に減額する制度です。

これまでは、減額返還制度を利用するには、給与所得者の本人の年収が325万円以下であることが必要でした。それが、年収400万円以下であれば利用できるように緩和され、さらに、子どもが2人いる世帯なら500万円以下、子ども3人以上世帯は600万円以下まで、減額返還制度が利用できるようになります。また、減額後の金額も3分の2、2分の1、3分の1、4分の1から選べるようになります。

所得連動返還方式の見直し

「所得連動返還方式」とは、前年の所得に応じてその年の毎月の返還額が決まり、返還していく方法です。前年の所得が高ければ返還月額が高くなるものですが、この所得を計算するにあたって子ども1人につき33万円の所得控除がされることになります。

いずれにしても、返還月額が減ると返還期間が延び、利息を含む返還総額は変わりません。返済期間が長くなることが必ずしも良いとは限りませんが、子育て中で余裕がない場合に奨学金の返還にあたって柔軟な対応ができるようになりますね。

文章ではわかりにくいところが多くて恐縮ですが、少しでもお役に立ちましたらうれしいです

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また、大学無償化にはこちらで詳細をご案内していますので合わせてチェックなさってくださいね。

【給付型奨学金】最高670万円の支援!高等教育の修学支援新制度ってどんな制度?~令和6年改正~