奨学金にも影響!?子どものバイト103万円と扶養控除・ひとり親控除の注意点
お子さんが大学生のシングルマザーさんからの質問をご紹介させていただきます。
2020年からはシングルマザーへの控除は「寡婦控除」ではなく、「ひとり親控除」になりましたので、その点を踏まえてご紹介します
Q.子どものバイト、103万円を超えるとどうなりますか?
扶養に入れているお子さんがアルバイトをされていて、お子さんの給与が年間の合計で103万円を超えてしまった場合の家計への影響を心配されているのですね。
103万円超えた場合
(1)扶養控除がなくなりお母さんの税金の額が高くなる
(2)ひとり親控除控除がなくなる(2020年より寡婦控除からひとり親控除になりました)
ということで税金額が変わってきます。
■子のアルバイト収入がひとり親家庭の家計に与える影響
①年間収入103万円以下
親:扶養控除・ひとり親控除
子ども:税金の支払いなし(勤労所得控除がある)親の健康保険に加入できる
※収入額によっては、住民税は支払う場合がある
②年間収入103万円~130万円以下
親:扶養控除なし・ひとり親控除なし
子ども:税金の支払いなし(勤労所得控除がある)親の健康保険に加入できる
※収入額によっては、住民税は支払う場合がある
③年間収入130万円超
親:扶養控除なし・ひとり親控除なし
子ども:税金の支払いがある・自分で健康保険料を払う
税金のことは少し難しいのですが、お子様のバイト代が影響して奨学金に影響があるかもしれませんので要注意です!
2020年4月からの大学無償化(給付型奨学金+免除)についてはこちら
大切なことなのでそれぞれ詳細をお伝えしますね。
(1)扶養控除がなくなりお母さんの税金の額が高くなる
まず、お子さんの給与収入が年間103万円を超えると、お子さんがお母さんの扶養親族でなくなります。
お子さんがお母さんの扶養親族であるための要件の1つに、年間収入が給与のみの場合は103万円以下であることとされているためです。
※お子さんが16歳以上の扶養親族なら、お母さんは、所得税・住民税の計算でそれぞれ38万円が差し引いて税金を少なくできる「扶養控除」が受けられます。
※お子さんが大学生ということですので19歳~23歳なら特別扶養親族として、所得税では63万円、住民税では45万円、控除が受けられます。
【2020年からのひとり親控除については下記にまとめています】
(2)お子さんの収入が103万円を超えてしまったら
お子さんのアルバイト収入が103万円を超えて、扶養親族ではなくなると扶養控除と同様にひとり親控除も同時になくなります。
例えば、離婚によるシングルマザーの方が働いていて(所得税5%・住民税率10%)、20歳のお子さんを特定扶養親族とし、扶養控除とひとり親控除が受けられるご家庭の場合で考えてみましょう。
・所得税 (扶養控除63万円+ひとり親控除35万円)×5%=49,500円
・住民税 (扶養控除45万円+ひとり親控除30万円)×10%=75,000円
2020年の所得に対し、所得税と住民税と合わせて最大で合計12万4,500円も税金額が抑えられる計算になります。ところが、お子さんのアルバイト収入が103万円を超えて扶養親族ではなくなると、扶養控除とひとり親控除が同時になくなります。お子さんの給与収入が103万円を超える影響は大きいですね。
ちなみに、シングルファーザーの場合は「寡夫控除」がありましたが、2020年からはひとり親控除になり、所得税35万円・住民税30万円と控除額がアップしました。
(3)子どもの税金はどうなるの?
では、お子さんの収入がたくさんあるようなら、お子さんが税金を払う必要があるのでしょうか?
実は、働く学生の場合は、「勤労学生控除」(所得税は27万円) という所得控除が適用されるため、年間130万円以下の給与収入であれば所得税が0 となります。
住民税は少し複雑です。お子さんの給与収入が年間100万円を超えるあたりから住民税がかかってくる可能性がある ことに注意しましょう。自治体によって住民税がかかる収入基準が異なるため、 年間で90万円を超えそうになってきたら、一度お住まいの自治体に確認してみると良いですね。
年間収入130万円までは住民税にも勤労学生控除があり、控除額は26万円となっています 。
※勤労学生控除の正確な情報は国税庁のHPをご覧くださいね。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1175.htm
(4)お子さんの社会保険が変わる
お子さんのアルバイト収入が年間130万円を超えると、お子さんはお母さんの健康保険の扶養から外れ、自治体の国民健康保険に加入し、健康保険料を払わなければならなくなります。
もし、アルバイト先の社会保険の加入基準を満たせば、アルバイト先で厚生年金・健康保険に入り、アルバイト先で厚生年金保険料と健康保険料を給与天引きされることになります。
このように、お子さんのアルバイト収入が年間103万円を超えると、扶養控除・ひとり親控除の条件が外れることになり、お母さんの税金額がUPし、手取り収入が減ってしまいます
では、子どもが103万円を超えて働かない方がいいの?となりますと考え方やその他対策もあります。
シングルマザーが知っておきたい税金についての注意点と対策についてもご紹介しますね。
ひとり親家庭が知っておきたい税金のはなし
シングルマザーに限らず、ひとり親家庭の場合
■仕事をしている
■子どもを扶養に入れている
■ひとり親控除の対象
であるご家庭が多いと思います。
何らかの事情でお母さんが働けない、またはお仕事をセーブしていて、お母さんの給与収入自体が年間103万円以下であれば、そもそもお母さんに税金の負担がないので、控除は関係ありません。しかし、お子さまのため・生活のために収入が年間103万円を超えて働いている方には、収入に応じた税金がかかります。
収入から一定額を引いて税金額の計算しようという所得控除には、
■扶養控除(一般の控除対象扶養親族・特定扶養親族)
■ひとり親控除・寡婦控除
■社会保険料控除
■生命保険料控除
■医療費控除
■確定拠出年金による小規模企業共済等掛金控除
などがあります。
子どもが103万円以上働かない方がいい?
お子さんがアルバイト収入を増やすことによって、お母さんの税金額のUPを防ぐには
■お母さんの親を扶養に入れる
■確定拠出年金に加入するなど、その他の節税をする
などで、家族トータルで節税を考える方法もあります。
また、学業に専念すべきお子さんがアルバイトで収入をUPするより、お父さん(元夫)に養育費を払ってもらって、学費などの補てんをするという対策もあります。この話し合いが難しいという声もあるのですが、離婚前に公正証書や調停調書などで書面に残しておきましょう。