「医療費控除」誤解が多い保険給付金の差し引き方
日進・名古屋ベースの 家族と女性のお金の専門家 早乙女美幸です。
昨年医療費を多く支出して医療費控除を申告する方は、差し引く金額を過剰に申告してませんか?
控除の中では割と身近なこの「医療費控除」ですが、ルールを誤解して控除の金額を小さく申告してしまうと、還ってくる税金が少なくなってしまうことに…
申告が済んだ方もまだの方も、ルールを確認しましょう。
(ちなみに、サラリーマンの税金の還付は、5年さかのぼって申告できます。)
医療費控除のキホン
1年間(1~12月)に自分や家族のために払った医療費などが10万円を超えた場合、税金の計算上、その超えた金額をその年の所得から差し引くことができます。
●健康保険から、高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などの支給があれば、その金額はかかった医療費から差し引きます。
●民間医療保険などから給付金を受けた場合、その金額をかかった医療費から差し引きます。
医療費控除の金額の部分には税金がかからないので、〈控除の金額×税率〉の分だけ税金が少なくて済みます。
控除の基本的な考え方は、お金の専門家 谷咲実さんの記事にわかりやすく説明がありますのでこちらをご参考にしてください(^^)
保険の給付金の差し引き方
病気やケガのときに保険から給付金を受け取れたらありがたいですが、医療費が補てんされたことになるので、医療費控除の計算の上ではその分医療費から差し引かないといけないのです。
ただ、「補てん」された分だけでいいので、給付金の対象になった傷病の医療費から、かかった医療費同額を上限として差し引けばOK。
例えば、かかった医療費が
●骨折の医療費 10万円
●歯科治療の医療費 20万円
受け取った保険金が
●骨折の入院給付金15万円
この場合、入院給付金は、骨折の医療費からかかった同額の10万円だけ差し引けばOKです。
つまり医療費控除の金額は、
{骨折(10万円ー給付金で補填10万円)+ 歯科20万円} - 10万円 = 10万円
かかった医療費全体から保険金を引くと思ってしまうと、控除の金額が小さくなってしまうので注意してくださいね。
差し引かなくていい保険金
他にも保険金を受け取ったときの注意点として、医療費から差し引かなくてもいいものがあるので覚えておきましょう。
例えば、「がん診断給付金」は、がんの確定診断がされたことに対して支払われるもので、入院や手術などの医療費を補てんする保険金にはあたらないため、医療費から差し引く必要はありません。
つまり、
●入院・治療等を条件に支払われる保険金・給付金は、医療費を補てんする保険金にあたるため医療費から差し引く必要がある。
(入院給付金、手術給付金、通院給付金、放射線治療給付金など)
●診断が確定したなどの一定要件を満たしたときに一時金で支払われる保険金・給付金(入院・治療等を条件に支払われるものを除く)は、医療費を補てんする保険金にあたらないため医療費から差し引かなくてもよい。
(三大疾病保険金、特定疾病保険金、がん診断給付金など)
10万円以上かからなかったら?
医療費が10万円未満でも、所得金額が200万円未満の人は〈所得金額×5%〉を超えた金額を所得控除として差し引くことができます。
「一番所得の高い人にまとめて申告しましょう」と言われていますが、医療費が10万円にならなかったら、所得金額が200万円未満の人が申告することで控除を受けることができる場合があります。
パート収入の方であればほぼ当てはまるので、少しでも節税してくださいね。
一番楽な申告方法は?
医療費控除の適用を受けるためには、医療費の明細を添付する必要があります。
これが面倒で、ついついしそびれちゃう…という方も多いかと思いますが、今は健康保険からの医療費のお知らせがあればカンタンです。
お知らせから医療費の総額と、実際に自分が支払った金額とを記入すればOK。
保険適用外の医療費もあるという方は、「医療費控除の明細書」に必要事項を記入し、申告書に添付して提出します。
エクセルが使える方であれば、令和3年分確定申告特集にアクセスして、明細書様式「Excel版」をダウンロードして入力するのがオススメです。
「控除」とは「差し引く」という意味。つまりこの部分には税金がかからなくてすむということです。
ポイントを押さえて上手に節税してくださいね。
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