相続で揉めるのはお金持ちじゃない一般家庭?
独身女性のためのお金の専門家 川井真澄です。
「うちは相続するような財産はない」と親が言っているようなら注意してください。
鵜呑みにしていると、兄弟姉妹と揉めるかもしれません。
お金持ちだけの話ではない、相続について考えてみましょう。
相続税と遺産分割
相続の話は大きく分けて2つあります。
①相続税
亡くなった方の財産(遺産)を受け継いだ際に、納める税金です。
すべての人が相続税を納めるわけではありません。
受け継いだ財産から、マイナスの財産やお葬式費用などを引き、さらに基礎控除額を引いた残りの部分に相続税がかかってきます。
よって、基礎控除額より少ない財産であれば、相続税を納めることはありません。
相続税はどれくらいの人が納めているのか「令和3年分 相続税の申告事績の概要」で確認してみると、亡くなった方の9.3%に相続税がかかったとなっています。
100人のうちの約10人にも満たない人数です。
意外と少ないと思いましたか?もしくは、多いと思ったでしょうか。
②遺産分割
亡くなった人の財産を相続人全員で話し合って分けることです。
プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も受け継ぎます。
マイナスの財産がプラスの財産を超えるなどした場合、一切の財産を引き継がない「相続放棄」の手続きを取ることも可能です。
「うちは貧乏だ」
「うちには分けるほどの財産がない」
そんなことを言っている親が亡くなったあと、本当に分けるものはないでしょうか。
貯金箱1つでもあれば、それは遺産分割することになります。
揉めないように早めに相続のことを話し合っておくことは大切ですよ。
それぞれの思いがあるからこじれやすい相続
平等に遺産を分けることができれば、相続で揉めることはないと思いますよね。
なぜ揉めてしまうのでしょうか。
例えば、母が亡くなり相続人となった姉妹。
遺産の現金1000万円を遺産分割することになりました。
法律に従い分けるのであれば、AさんとBさんにそれぞれ500万円ずつ遺産を分けることになります。
しかし、法定相続人全員の合意があれば、遺産を法律通りに分ける必要はありません。
それまでの行いなどに見合う遺産の分け方をすることも可能です。
Aさん「母の介護をしていたのだから多めに相続したい!」
Bさん「Aさんの子どものために母がお金を出していたのはずるい!」
このような思いを遺産分割に反映できる話し合いができればよいのですが、こじれてくると残念ながら家庭裁判所の力を借りなければいけないケースもあります。
仲が良かった兄弟姉妹が、このようなことで仲たがいになることは避けたいですね。
お金持ちは揉めない遺産相続!?
遺産相続で揉めるのは、お金持ちだけの話だと思っていませんか?
家庭裁判所に持ち込まれた遺産相続の揉めごとの遺産額別の件数を見てましょう。
遺産が5000万円以下での遺産相続の揉めごとが多いことがわかりますね。
裁判所に持ち込まれた遺産相続の揉めごと全件数の75%以上を占めています。
一般的な家庭は「うちは大丈夫」「うちは揉めない」という気持ちがあり、相続の対策を考えていない結果なのかもしれません。
遺産相続で揉めないためには?
遺産相続で揉めない方法は、親が亡くなる前から相続について親や兄弟姉妹と話し合っておくことです。
あなたが知らない不動産を親が持っていることもありますし、残高が残ったままで未使用の銀行口座がある場合もあります。
親の財産を一覧にしておいてもらうと、相続のときに役立ちますよ。
そして、口約束にしないためには「遺言書」の活用です。
注意しなければいけないのは、遺言書を作成した際に本人が認知症などの影響で判断能力がなかったと認められると遺言書が無効になってしまうことです。
認知症になってから遺言書を作成できませんし、聞きたいことも聞けないこともあります。
相続の対策は早めにしておきましょう。
まとめ
「うちは大丈夫」と思いがちですが、どのようなことが相続で揉める原因になるかわかりません。
認知症などになってからは遺産相続の対策が難しくなってしまいますので、親が元気なあいだに相続をどうするのか家族で話し合っておきましょう。
また、親が病気や介護が必要になったときの対応についても話し合っておくことが大切です。
そのときの対応が遺産相続の揉めごとに発展するかもしれませんので、だれか一人に負担がかからない配慮が必要ではないでしょうか。