2016年版学資保険を契約する前に考えるべき4つのポイント

マイナス金利も導入されましたが、相変わらず学資保険が人気ですね。

今、学資保険に加入するということは、低金利を18年も続けることです。

これから加入を検討するという方は、こんなポイントも考えてみてください。

学資保険の返戻率の現状

まず、2016年8月現在の学資保険の状況をみてみましょう。

ノーマルなものは105%前後

 

大学進学時に満期になり、保険料払い込み期間も妥当な加入の仕方だと、返戻率は最もよいもので105~106%くらいです。

 

それより高い返戻率110%などのものは、保険料払い込み期間が10歳までなどと短かったり、満期が22歳で大学進学時以降に給付されたり、というような契約になっています。

最も備えが必要なのは大学の入学時ですからこれでは困りますね。

児童 学資保険

 

利回りにするとどれくらい?

 

では返戻率105%とは、積み立てとしてはどれくらいの利回りなのでしょうか?

 

保障のある保険と、単なる積み立て預貯金の利回りを比べるのは筋が違うかもしれません。

しかし多くの加入者にとっては保障を受けることなく単なる教育費の積み立てとなるわけですから、比較することに意味はあるでしょう。

 

計算してみると、おおよそ0.6%の積み立てに匹敵するようです。
(17年間の毎月の積み立てで最終的に105%になる場合)

 

現在の利率だけを考えると0.6%というのは有利な商品に感じるかもしれません。

でも、今後17~18年もずっとこんな低金利のままでしょうか?

 

契約前に考えて欲しいポイント4つ

 

では現状を踏まえて、学資保険の契約の前に考えて欲しいポイント4つをご紹介します。

 

1.  超低金利固定の積み立てになってしまう

 

マイナス金利時代の今学資保険に加入したら、現在の超低金利を固定した積み立てを選んだことになります。

学資保険は10~18年もの長期の契約であることを考えると、今後金利が上昇することは十分考えられますから、金利上昇してもその上昇を取り込めない保険は不利だと言えます。

 

今の30代パパママの親御さんたちが子育てしていたころは、保険の予定利率は4.75%以上、高い時で6%代の年もありました。

 

そのころの保険の成功体験を持っているこの世代の方々は、子育てを始めた子世代に学資保険を強く勧めることが多いようです。

けれども現代は親世代とは全く違う社会状況であることを忘れてはなりません。

金融商品は、時代に合った選び方をすることが大事です。

豚貯金箱

2. 保険費用の分だけ貯蓄としては不利

 

学資保険は契約者が死亡したり高度障害になったりすると、以降の保険料の払い込みが免除されます。

この保障は保険会社のサービスではなく、保障を付けるための費用は契約者が保険料の中から負担しています。

また、保険契約を継続するための諸費用も保険料に含まれます。

つまり、払った保険料が全額積み立てされるのではなく、必要な保険費用が引かれた上で残りが貯められていくのです。

 

 

では、30代男性の死亡率はどのくらいかご存じでしょうか?

 

30代男性の死亡率は、1,000人あたり0.58~0.95人です。(H27年 簡易生命表より)

 

圧倒的多数の加入者にとっては、保険費用が掛かる分だけ不利な積み立て貯蓄になります。

 

契約者に何かあったときは、保険料を払うことに困るのではないかと心配でしょうか?

 

契約者が生計の担い手であったら、お子さんが小さいころはどの家庭でも死亡保険に加入するでしょう。

そのときはその死亡保険から保障が受けられますから、1~2万の保険料支払いに困ることはないはずです。

もちろんもしものときに困らないように、教育費も含めた必要保障額をまかなう死亡保険に加入しておくのが前提です。

 

一本化した死亡保障があれば、教育費の積み立てにまで保障をつける必要はありません。

保障機能が付くと貯蓄としては効率が悪くなります。

もしものときには以降の保険料を払わなくて済むから「お得」ではないのです。

 

3. 途中解約すると元本割れをしてしまうこと

 

恐らくみなさん加入するときは絶対に途中解約はしない、と思って契約すると思います。

しかしながらこの先の人生何があるかわかりません。

自営業の方に特に考えられるかと思いますが、一時的にまとまった金額が必要になることがあるかもしれません。

これまでも、解約してしまったり、貸付を重ねて大幅な元本割れに終わってしまった方の例を見てきました。

 

他にも一時的に保険料の払い込みが難しくなるということもあるかもしれません。

 

そんなとき、預貯金だったら一時的に積み立てをやめたり減らしたりということが自由にできます。

そもそも子どもの年齢で教育費のかかり具合はかなり違いますから、その時の貯蓄余力を考えて積み立て額を変えられる方が本当は効果的です。

中3の月1万円と、小3の月1万円とでは、負担感が全く違います。

教育費の貯め期を考えた準備が最も効率がよい貯め方です。

4. 使ってしまう?そのためにコストをかけて鍵をかけてもらう?

 

保険に加入することで、保険料を払わなければいけない、途中の解約は損をするという状況が、教育費を貯めるためにはかえって好都合なんだという声があります。

 

それは保険費用というコストがかかっても必要なことでしょうか?

中には必要な方もいるかもしれませんが、すべての家庭がそこまで積み立てを続けるのが難しいとは思えません。

 

そんな効果を期待しているのなら、例えば実家のある地域の地方銀行に口座を作り、給与振り込みしてもらい、そのまま自動積み立てを設定する、というのはどうでしょうか。

 

敢えてキャッシュカードは作らないようにしておろしにくくしたり、通帳も実家に預けるという手もあります。

これならコストはかかりません。

 

そしていずれ金利が上がったら、その金利上昇のメリットを受けられます。

 

また、社内預金財形貯蓄も比較的払い出ししにくいですね。

 

このくらいの使いにくさでストッパーになる方であれば、利率も高めなのでぜひ利用してください。

 

以上、確認していただきたいポイントをご紹介しました。

 

 

… それでもやっぱり学資保険、という方もいらっしゃるでしょう。(笑)

 

その場合は医療特約無し、途中のお祝い金なし、大学入学時以降の給付なしのタイプを選んでくださいね。

 

保険に頼る割合を過剰にしないことが、人生の資金を効率的に貯める秘訣です。

プロフィール

早乙女美幸

 

えーるFPサポート代表 早乙女美幸

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