投資信託とは?5つのメリット3つのデメリットを独立FPが解説

投資信託とはどんなもの?広く個人の資産運用に利用されている投資信託ですが
仕組みがよく分からないという方は多いのでは?

投資信託の基本をある程度理解した上で利用しないと、
何だかよくわからない…と短期間でやめてしまったり、
効果的に使うことができなかったりします。

そこで今回は、投資初心者はもちろん、
実は投資信託がよく分かっていないという多くの方向けに、
投資信託のメリット・デメリットを解説します。

投資信託とは?

一言で言えば、
「多くの投資家から集めた資金を一つにまとめて、
運用の専門家が株や債券など様々な金融商品で運用する商品」です。

投信と略したり、ファンドと呼ばれることもあります。

投資信託の仕組み・モーニングスター

モーニングスターHPより

 

運用の成果として利益が出れば、
それぞれの投資家(私たちのことですよ)の投資額に応じて分配されます。

集めた資金をどのように運用するかは、投資信託ごとに「運用方針」が決められていて、
それに基づいて運用の専門家(ファンドマネジャー)が行います。

つまり、投資信託と一口に言っても、どんな運用方針なのかで全く違うものになります。
国内株式で運用するのか、海外債券で運用するのか、
分配金を毎月出すのか、出さずに再投資するのか、などです。

運用方針

投資信託は入れ物です

投資信託はいわば入れ物のようなもので、中身によって全然違うものになります。
新興国の株式だけが入っている(運用商品として持つ)ものもあれば、
日本国内の債券だけが入っているものもあります。

2016年の年末で、日本だけでも約6千本の投資信託が運用されています!

一度投資信託で損したり、他の人の「投資信託で失敗した」という話を聞いて、
投資信託全てが悪いものであるかのようにとらえてる方がいらっしゃいますが
個々の投資信託はまるで別の金融商品かのように
全然違うものだという事を知っておいてください。

それぞれの特徴を知って、どう使うかが大事になってきます。

値動きや運用の成果の出方はそれぞれかなり違いますが、
「入れ物」に投資商品が入っているという形は一緒。

まずは投資信託に共通するメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。

5つのメリット

メリット1)少額で投資できる

投資信託は1万円くらいから購入できます
個別の株式であれば、1万円で買えるものはほとんどなく、
購入にはまとまった金額が必要になります。

個人では難しい数百万円など高額な株式への投資も
投資信託を通じてなら誰にでも可能になります。

豚貯金箱オン芝生

投資信託は、一人一人の資金は少額でも、まとめて大きな資金にして運用できるので、
スケールメリットを生かした運用ができます。
また、少額で投資できるので、一人で何種類もの投資信託に投資することも可能です。

 

メリット2)運用を専門家に任せられる

 

投資信託では、商品ごとに「運用方針」が決められていて、
それに基づいて運用の専門家(ファンドマネジャー)が運用をする
ということは最初にご説明した通りです。

一口に「運用する」と書きましたが、実際には運用方針に基づいて、
どの地域のどんな資産の、どの銘柄を、いつ、どのくらい購入するか、売却するかなどなど
さまざまな「投資判断」や「取引業務」が必要です。

運用を専門家に任せられるのは、投資に時間を割きたくない
私たちフツウの投資家には大きなメリットです。

ご注意いただきたいのは、専門家に運用を任せると必ず利益が出るわけではない点です。
大きく損失を出している投資信託はたくさんあります。
もっともいつ購入していつ売るかで利益は全然変わってくるわけですが。

その時々の株価を気にしない長期投資がしたければ、
長期・分散投資に適した商品選びをする必要があります。

 

メリット3)幅広く分散投資できる

 

少額でも幅広く投資先を分散できるのも、投資信託の大きなメリットです。

仮に株式に投資するとして、一社の株だけに投資して、
その会社が倒産したり株価を大きく下げた場合、大きな損失になることもあります。

しかし、複数の会社の株を購入すれば、一つの企業の株価が大きく値下がりしても、
他の株の利益でカバーできることもあります。

投資を安定させるためには、投資先を分散させることが大事です。

円グラフ

このような「分散投資」が、個人の少額な資金では難しくても、
大きな資金で運用できる投資信託であれば可能です。
株式であれば何十社、何百社の銘柄に分散投資することができます。

また、投資信託は、株式だけでなく債券や不動産、その他の資産も投資先にできますが、
年によって、各資産の「投資成果の成績順」は大きく変わります。

そのため投資する資産の種類も分散させることが、リスクを軽減させることにつながります。
これも直接投資では多額な資金が必要ですが、投資信託では少額で可能です。

 

メリット4)個人では難しい投資先にも投資できる

 

株式や債券、不動産などの資産は、それぞれ国内のもの、
海外のもの(先進国や新興国)があります。

国内の資産に比べて、海外の資産への直接投資は
情報収集や取引に慣れるのも大変ですよね。

新興国の株式や債券への投資も、取り扱う証券会社が限定されたり、
個人では取引できないものがあったりと大変難しいのが実情です。

インドネシア

このような個人では難しい投資先にも、投資信託であれば
スケールメリットと運用の専門家に任せられることで投資が簡単です。

逆に言えば、個人では難しい投資先に、小口の資金で投資できるという事です。

 

メリット5)自動積み立てができる

 

投資信託は多くの金融機関で自動積み立てが設定できます。
積み立ての月額は、ネット証券では500円や1000円からできるところがあります。
店舗型の金融機関では5000円からというところが多いようです。

がま口

株式の購入も積立購入ができる金融機関がありますが、通常の取引よりも手数料が高めで、
少額の積立では銘柄の分散がしにくいのが難点となっています。

投資信託の積み立ては、特別な費用は必要なく、かかるコストは通常の購入の場合と同じです。
月に一度、指定した銀行口座や証券口座から資金を引き去り、
指定した投資信託を購入してくれます。

自動で毎月定額購入できるので、買い時を気にせずに購入を続けることができ、
ドルコスト平均法」の効果(平均買付価格をならす効果)で、
効率の良い積立運用ができます。(ドルコスト平均法についてはまた別の機会に)

長期・分散投資をコツコツ続けることが個人の資産形成の肝になるので、
投資信託の自動積み立ては多くの方にとってピッタリな運用方法です。

 

3つのデメリット

 

もちろんデメリットもあります。デメリット3つを見ていきましょう。

デメリット1)元本は保証されていません

 

投資信託は元本保証のある金融商品ではありません。
中身は株式や債券、不動産などの投資商品なので当然なのですが。

投資信託を銀行でも売るようになったので、預金と比較する方は注意が必要かもしれませんが、
投資商品ととらえている方には言うまでもないことですよね。

豚貯金箱と悩む人

ハイリスクの商品はもちろん、低リスクの国内債券型のようなものでも、
程度は小さいにしろ、ほぼ必ず運用の途中で元本を下回るときがあります。

そのときに怖くなって売って、損失を確定してはいけないわけです。

投資は長期間運用できる資金ですることが大事です。
5年~7年、人によっては10年以内に使う予定のあるお金は投資信託ではなく
元本保証の金融商品で運用する方が無難です。

しっかり投資先を分散すれば、5年、10年、と運用期間が延びるにつれて
元本割れする確率はドンドン減っていきます。

 

デメリット2)コストがかかる

円イン雲

投資信託は、主に3種類のコストがかかります。
運用を専門家に託すためのコストと見なされますが、これが最大のデメリットと言えるかもしれませんね。

商品によってかからないコストがあったり、
同じ商品でもどこの金融機関で購入するかで手数料(コスト)の金額が違うこともあります。

では3種類のコストの概要を確認しましょう。

 

(1) 購入時手数料

 

投資信託を購入するときに、一度だけ販売会社に支払うコストです

購入時手数料のない(ノーロード)投信もたくさんあります。
購入価額に定率でかかり、1%~3%ほどが多くなっています。

購入時手数料が3%の投信に100万円投資したい場合、
消費税も含めて103万2400円が必要ということになります。

購入時手数料は、上限〇%というように設定され、販売会社によって料率が違います。

同じ投資信託を購入する場合でも、A銀行では2%の購入時手数料がかかり、
B証券会社では無料、という事もあるので、どこで購入するか検討することが大事です。

長期・分散投資の強い味方「インデックス投信」はほとんどがノーロードです。

インデックス投信とは、市場の指標・指数(インデックス)
同じ値動きをするように作られている投資信託です。

国内株のインデックスの代表が「TOPIX」や「日経平均」です。

インデックス投信は、その市場の投資成績の平均値が得られるように
作られた投資信託と考えていただけばいいでしょう。

私たちが、販売手数料のないもの、安いものを選んでいけば、
将来的には減っていくのでは、と思います。

 

(2) 運用管理費用

 

信託報酬

投資信託を保有している間に、毎日かかる費用です。
投資信託に投資したお金は「信託財産」と呼ばれますが、そこから間接的に支払います。

例えば信託報酬が1%だとしたら、
信託財産×1%÷365日…に相当する金額が、毎日信託財産から差し引かれる
といったイメージになります。

%

信託報酬は、低いもので0.1%台、高いもので2%台が多くなっています。

こちらもインデックス投信の信託報酬は低いものが多く、
アクティブファンドは高いものが多いです。

投資信託のうち、ファンドマネジャーの力量で、
平均より高い成績を目指す方針のものがアクティブファンドです。

インデックス投信では、同じインデックスに連動するものは同じ値動きになるはずなので、
その場合は信託報酬がより低いものを選ぶ方が有利だという事になります。

アクティブファンドでは、信託報酬が高くても、
それを上回る運用成績が見込まれれば選ぶ価値があるという事になります。

同時に、高い信託報酬を支払っても、同じカテゴリーのインデックス投信よりも
好成績が見込めるのかもチェックポイントです。

信託報酬は、その投資信託の成績が良くても悪くても必ず毎日差し引かれます

不確実な成績よりも、確実に引かれるコストに敏感になりましょう。

 

その他の費用

投資信託によっても違いますが、信託報酬の他にも保有している間にかかる費用があります。

・監査費用
・売買委託手数料
・取引税
・海外資産の保管費用等

これらは信託報酬に比べたら少額になります。
投資信託の説明書である「目論見書」には、

~これらの費用は運用状況等により変動するため、料率、上限額等をあらかじめ表示することができません。~

と書いてあります。
事前にはいくらかかると言えないが、他にも費用がかかりますよ、ということです。

内容を覚える必要はありませんが、他にも少しかかる費用があることは覚えて
おきましょう。

過去どれくらいかかったかは、運用レポートなどで確認できます。
これらの費用も、一般的にインデックス投信は少なめ、アクティブファンドは多めにかかります。

 

(3) 信託財産留保額

 

投資信託を解約・換金するときに支払います。
手数料ではなく、信託財産に残していく(留保する)お金になります。

私たちが解約すれば、投資信託では株式などの資産を売却して現金を用意しなければいけませんよね?

そのために発生する費用は、残る人ではなく、
解約して現金を受け取る人が負担しましょう、という考え方です。

そう考えれば、長期投資家にとってはあってもいい費用かもしれませんが、
この信託財産留保額は、設定されていない投信も多いです。

0.1%前後が多いですが、新興国の投信や、REIT(不動産投信)は
0.3%ほどかかるものも多くなっています。

低率で、解約するときの一度だけ負担するコストなので、それほど気にする必要はないでしょう。

最後に、同じ国内株式のカテゴリーで、
この3つのコストの最安レベルと最高レベルをご紹介しておきます。

投信コスト比較

 

デメリット3)分かりにくい

デメリットの1,2に比べてあいまいな表現ですが、
投資信託ってなんだかわかりにくくないですか?

投資信託は、中に何が入っているか、どんな運用方針かなどでいろんなタイプの商品が作れます。
それはメリットでもありますが、わかりにくさにもつながっています。

よく分からないという顔の女性

・分配金には課税されるものと課税されないものがある?
・そもそも分配金が出る方がいいのか出ない方がいいのか
・口数とはなに?
・価格はいつどのタイミングで決まるの?
・なぜ手数料の金額が金融機関でちがうの?
・今儲かっているの?

…よく受ける質問も多岐にわたっています。

初心者向けと言いながら、投資信託のつくりを理解するのには少し時間がかかります。
始めは少し時間や労力がかかりますが、自分にぴったりの投資パターンができてしまえば、
あとは手間なく続けられます。

デメリット3への対策としては、なるべくシンプルで、
かつ長期投資に向く商品内容のものを選ぶこと。

インデックス投信が代表例です。

そうすれば基本の知識で大丈夫です。

 

今回は投資信託のメリット・デメリットを中心にご説明しました。

デメリットもありながらも、やはり投資信託が個人の長期投資のベストチョイスです。

質問の回答も含めて、投資信託の解説は続けていきます。

 

参考サイト:

一般社団法人 投資信託協会

 

投資信託を作っている会社にも、投信の解説サイトがあります

教えて資産運用

プロフィール

早乙女美幸

 

えーるFPサポート代表 早乙女美幸

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